ゴーストライター

ロマンポランスキー監督は、監督第1作としては秀逸すぎる出来といわれる『水の中のナイフ』、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の「反撥」(1964)、「吸血鬼」(1967)で女優シャロン・テートと出会い結婚するも、翌年、妊娠8ヶ月だった彼女はカルト教団に惨殺されてしまう…。そんな時期に発表されたのがローズマリーの赤ちゃん」(1968)。ジャック・ニコルソン主演の「チャイナタウン」は、アカデミー賞をにぎわせ、1977年、そのジャック・ニコルソンの自宅で、少女への淫行の容疑をかけられ、懲役50年以上を嫁せられるも、保釈中にヨーロッパへ逃亡。いわくつき「関係」つきの「ナスターシャ・キンスキー」主演の「テス」はそののちに公開される。そして、2002年「戦場のピアニスト」でアカデミー賞監督賞をはじめとした各賞を受賞し、この作品「ゴーストライター」に至っている。個人的にはなぜか、「フランティック」が印象に残っていて…。スーツケースは「サムソナイトにしよう」って、心に決めた作品だったからだろうか・・。あっ・・まさに蛇足ですな・・。
第二次世界大戦中、母をアウシュビッツで亡くし、ユダヤ人狩りから逃れるため、逃亡生活を強いられるなどの体験も、彼の人格や作品に大きな影響を与えているといわれている。彼のホラーは消して、奇抜な効果・演出やキャラクターによって表現されるというよりも「しんしんと」降り積もり、気がついたら心底冷えていた…。みたいな怖さがある。
そして、その恐怖は「暗さ」だけでない何か「魅力的」なものと一緒にいる・・。
御歳80歳。「ゴーストライター」が発表されたのは77歳、その才能は変わらず・・歳を重ねられて尚、魅力を増している作品のひとつです・・。

出演者は「スターウォーズ」のユアン・マクレガー、「007」のピアース・ブロスナンなどの俳優陣が、「これぞ!ハリウッド」的な作品とはまた異なった一面をみせてくれています。

ゴーストライター』(The Ghost Writer, 英国題: The Ghost)は、ロマン・ポランスキー監督による2010年の政治スリラー映画である。ロバート・ハリスの小説『ゴーストライター』を原作としており、ハリス自身とポランスキーが脚色した。

ストーリー

元英国首相のアダム・ラングの自伝小説の執筆を依頼されたゴーストライターが、やがて政界を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれる。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
ゴーストライター ユアン・マクレガー 森川智之
アダム・ラング元首相 ピアース・ブロスナン てらそままさき
アメリア・ブライ キム・キャトラル 西村野歩子
ルース・ラング オリヴィア・ウィリアムズ 幸田直子
ポール・エメット トム・ウィルキンソン 喜多川拓郎
シドニー・クロール ティモシー・ハットン 志村知幸
リック・リカルデッリ ジョン・バーンサル
ストレンジャー デヴィッド・リントール
リチャード・ライカート ロバート・パフ
ジョン・マドックス ジェームズ・ベルーシ
ヴィニヤードの老人 イーライ・ウォラック

受賞・ノミネート

映画祭・賞 部門 候補 結果
ベルリン国際映画祭 金熊賞 ロマン・ポランスキー ノミネート
銀熊賞(監督賞) ロマン・ポランスキー 受賞
全米映画批評家協会賞 助演女優賞 オリヴィア・ウィリアムズ 受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞 助演女優賞 オリヴィア・ウィリアムズ 次点
ヨーロッパ映画賞 作品賞 ロマン・ポランスキー 受賞
監督賞 ロマン・ポランスキー
男優賞 ユアン・マクレガー
脚本賞 ロマン・ポランスキー、ロバート・ハリス
音楽賞 アレクサンドル・デスプラ
編集賞 エルヴェ・ド・ルーズ ノミネート
プロダクションデザイン賞 アルブレヒト・コンラート 受賞
セザール賞 作品賞 ノミネート
監督賞 ロマン・ポランスキー 受賞
脚色賞 ロマン・ポランスキー、ロバート・ハリス
音楽賞 アレクサンドル・デスプラ
撮影賞 パヴェル・エデルマン ノミネート
音響賞
編集賞 エルヴェ・ド・ルーズ 受賞
美術賞 アルブレヒト・コンラート ノミネート
ロンドン映画批評家協会賞 助演男優賞 ピアース・ブロスナン ノミネート
助演女優賞 オリヴィア・ウィリアムズ 受賞
フェニックス映画批評家協会賞 作曲賞 アレクサンドル・デスプラ ノミネート
サテライト賞 ドラマ映画賞 ノミネート
監督賞 ロマン・ポランスキー
助演男優賞 ピアース・ブロスナン
脚本賞 ロマン・ポランスキー、ロバート・ハリス

ロバート・ハリス (1957年生)

ロバート・ハリスRobert Harris, 1957年3月7日 - )はイギリス、ノッティンガム生まれのジャーナリスト、政治評論家、作家。義兄弟に同じく作家、エッセイストのニック・ホーンビィがいる。

来歴

ケンブリッジ大学出身。BBCのレポーターを勤めた後、「オブザーバー」紙の政治論説委員。また、「サンデー・タイムズ」「デイリー・テレグラフ」などにコラムを執筆。2003年には英国報道機関賞(British Press Award)の年間最優秀コラムニストに選出された。

その一方、1992年にはナチス・ドイツが第二次世界大戦に勝利した世界を舞台としたミステリ『ファーザーランド』で作家デビューし、その後もポリティカル・フィクションなどを中心に執筆活動を続けている。

著作 (日本語訳があるもののみ)

小説

  • Fatherland (1992) 『ファーザーランド』- 文春文庫・後藤安彦 訳
  • Enigma (1995) 『暗号機エニグマへの挑戦』 - 新潮文庫・後藤安彦 訳
  • Archangel (1999) 『アルハンゲリスクの亡霊』- 新潮文庫・後藤安彦 訳
  • Pompeii (2003) 『ポンペイの四日間』- ハヤカワ文庫・菊池よしみ 訳
  • The Ghost (2007)『ゴーストライター』 - 講談社文庫・熊谷千寿 訳(2010年映画化:ロマン・ポランスキー監督)
  • The Fear Index (2011) - 未訳

ノンフィクション

  • 『ヒットラー売ります 偽造日記事件に踊った人々』 - 朝日新聞社刊
  • 『化学兵器 その恐怖と悲劇』(ジェレミー・パックスマンとの共著) - 近代文芸社刊

ロマン・ポランスキー

ロマン・ポランスキーRoman Polanski, 1933年8月18日 - )は、ポーランドの映画監督。

生い立ち

ユダヤ教徒のポーランド人の父親とカトリック教徒でロシア生まれのポーランド人の母親の間にフランスの首都のパリで生まれる。出生時の名前はライムント・ロマン・リープリンク(Rajmund Roman Liebling)。3歳のとき一家はポーランドのクラクフに引越し、そこで幼少期を過ごした。

第二次世界大戦時はドイツがクラクフに作ったユダヤ人ゲットーに押し込められた。ゲットーのユダヤ人が一斉に逮捕される直前、父親はゲットーの有刺鉄線を切って穴を作り、そこから息子を逃がした。父母はドイツ人に別々に連行された。母親はアウシュビッツでドイツ人に虐殺された。父親はドイツ人により採石場で強制労働をさせられ、終戦まで生き残った。

また自身も、ドイツに占領されたフランスのヴィシー政権下における「ユダヤ人狩り」から逃れるため転々と逃亡した。この体験がポランスキーの作品に深く影響を与えることとなった。

俳優

第二次世界大戦終結後にポーランドへ戻り、生き延びた父親と再会した。その後は映画に興味を持ち、ウッチ映画大学で学んだ後、冷戦下の1950年代にポーランドで俳優として活動を始める。いくつかのポーランド映画に出演後、自由な表現活動を求めてフランスに移った。

映画監督

1962年に『水の中のナイフ』で監督デビュー。共産党一党独裁体制のポーランドでは黙殺されたが西側諸国で絶賛された。その評判に惹かれるように1963年にイギリスに渡り映画『吸血鬼』などを製作する一方で、アメリカのヒューストンに居を構える。

シャロン・テートとの結婚と悲劇

『吸血鬼』に出演した女優シャロン・テートと1968年に結婚(2度目の結婚)。しかし翌年の1969年8月9日、テートはポランスキーの自宅でチャールズ・マンソン率いるカルト教団に惨殺された。当時、テートはポランスキーの子を身ごもっており、妊娠8ヶ月だった。

少女への淫行容疑

ポランスキーはアメリカに絶望するが立ち直り、作品を撮り続けた。しかし1977年にジャック・ニコルソン邸で、当時13歳の子役モデルに性的行為(強姦・アナルセックス)をした嫌疑をかけられ逮捕、裁判では司法取引により法定強姦の有罪の判決(実刑 懲役50年以上という換算)を受ける。ポランスキーは法廷の外では無実を主張、これは冤罪であり、本人は少女とその母親による恐喝の対象になっていたと述べている。その後、保釈中に「映画撮影」と偽ってアメリカを出国し、ヨーロッパへ逃亡した。以後アメリカへ1度も入国していない。1978年にフランスに移り市民権を取得した。79年の作品『テス』で主演をつとめることになるナスターシャ・キンスキーとは彼女が15歳の頃から性的関係を結んでいた。1989年に女優のエマニュエル・セニエと3度目の結婚をしている。

現在

主に1960年代から1970年代にかけて活躍したものの、それ以降は凡作が続き全盛期は過ぎたと見られていたが、2002年公開の『戦場のピアニスト』で第55回カンヌ国際映画祭パルムドール及びアカデミー監督賞を受賞(上記の問題により逮捕・収監の可能性があるため授賞式には参加せず)、この受賞当時ポランスキーは69歳と7ヶ月で同賞の最年長受賞者となった。この記録はクリント・イーストウッドが74歳で受賞した2005年に破られた。

2009年9月、チューリッヒ映画祭の「生涯功労賞」授与式に出席するためスイスに滞在中、前述の少女への淫行容疑に関連してスイス司法当局に身柄を拘束された。アメリカは身柄引き渡しを要求したがスイスはこれを拒否、2010年7月12日に釈放を決定した。

2010年には『ゴーストライター』で第60回ベルリン国際映画祭監督賞を受賞した。

主な作品

監督

  • 水の中のナイフ Nóz w wodzie (1962)
  • 世界詐欺物語 Le plus belles escroqueries du monde (1964)
  • 反撥 Repulsion (1965)
  • 袋小路 Cul-de-sac (1965)
  • 吸血鬼 The Fearless Vampire Killers (1967)
  • ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby (1968)
  • マクベス Macbeth (1971)
  • ポランスキーの欲望の館 What? (1972)
  • チャイナタウン Chinatown (1974)
  • テナント/恐怖を借りた男 The Tenant / Le Locataire (1976)
  • テス Tess (1979)
  • ポランスキーのパイレーツ Pirates (1986)
  • フランティック Frantic (1988)
  • 赤い航路 Bitter Moon (1992)
  • 死と処女 Death and the Maiden (1994)
  • ナインスゲート The Ninth Gate (1999)
  • 戦場のピアニスト The Pianist (2002)
  • オリバー・ツイスト Oliver Twist (2005)
  • それぞれのシネマ To Each His Own Cinema (2007)
  • ゴーストライター The Ghost Writer (2010)
  • おとなのけんか Carnage (2011)

主な受賞

  • アカデミー賞
    • 2002年度 監督賞『戦場のピアニスト』
  • ゴールデングローブ賞
    • 1974年度 監督賞『チャイナタウン』
  • 英国アカデミー賞
    • 1974年度 監督賞『チャイナタウン』
    • 2002年度 監督賞『戦場のピアニスト』
  • セザール賞
    • 1979年度 監督賞『テス』
    • 2002年度 監督賞『戦場のピアニスト』
  • ヨーロッパ映画賞
    • 1999年度 世界的功績賞『ナインスゲート』
    • 2006年度 功労賞
  • カンヌ国際映画祭
    • 2002年度 パルム・ドール『戦場のピアニスト』
  • ヴェネツィア国際映画祭
    • 1962年度 国際映画評論家連盟賞『水の中のナイフ』
    • 1966年度 イタリア批評家賞『袋小路』
    • 1993年度 金獅子賞・特別功労賞、経歴賞
  • ベルリン国際映画祭
    • 1965年度 銀熊賞『反撥』
    • 1966年度 金熊賞『袋小路』
    • 2010年度 銀熊賞『ゴーストライター』

出演

  • 世代 Pokolenie (1954)
  • マジック・クリスチャン The Magic Christian (1969)
  • 処女の生血 Blood for Dracula (1974)
  • バック・イン・ザ・USSR Back in the U.S.S.R. (1992)
  • 他人のそら似 Grosse fatigue (1994)
  • 記憶の扉 Pura formalità, Una (1994)
  • ラッシュアワー3 Rush Hour 3 (2007)